第15回 野生動物写真コンテスト 入賞作品(令和6年度)

【総評】
第15回野生動物写真コンテスト応募作品審査が行われました。
今回は387名の方から1235点の応募がありました。
小学生以下の応募者が12名、41点でした。
審査は環境省や自然公園財団など各方面からの審査員7名による投票方式で進められました。
自然公園財団という立場から選考の前提として禁止区域等で撮影されたと思われるもの、外来生物の写真、また鳥などの営巣を間近で撮影した写真等は審査対象外とされました。
今回のコンテストは、日本における動物写真の先駆者で、この写真コンテストの発案者でもある田中光常氏の生誕100周年を迎える記念の年でした。
その記念に田中光常生誕100年記念特別賞を設け、土屋幸子さんのエゾナキウサギが選ばれました。
特別賞以外の作品では、最優秀賞・環境大臣賞に佐藤 章さんのキタキツネが選ばれました。
上位入賞する作品は、画面構成や色使いがシンプルで、作品のポイントとなる被写体が明確に表現され写真に力強さがあります。
またメインの被写体のみならず、周辺や背景の扱い方も作品作りに重要な役割を持っています。写真コンテストは作品の競争の場です。シンプルで力強い作品が多くの人の目を引きます。
それらの点に注意しながら写真撮影をされてはいかがでしょうか。
動物写真家 浅尾 省五
| 特別賞・田中光常生誕100年記念賞 | 最優秀賞・環境大臣賞 | 優秀賞 | 入選 | 子ども部門賞 | 佳作 |
※写真の無断掲載を禁じます。
特別賞・田中光常生誕100年記念賞(1点)

特別賞・田中光常生誕100年記念賞
「空高く!!」(エゾナキウサギ)
撮影場所:北海道
撮影者:土屋 幸子
<講評> ナキウサギが小枝をくわえて懸命に巣に向かう躍動感溢れる瞬間を写し取った素晴らしい作品です。撮影環境の厳しい中、動物の行動をよく調べ、寒さの中で長時間この瞬間を待ったこの一枚への取り組み方も高く評価できます。田中光常生誕100年記念特別賞に値する作品です。
最優秀賞・環境大臣賞(1点)

最優秀賞・環境大臣賞
「少年時代」(キタキツネ)
撮影場所:北海道
撮影者:佐藤 章
<講評> 若い2頭のキタキツネが取っ組み合って兄弟喧嘩をしている瞬間。大きく開けた口、お互いの肩にクロスに手を掛けた瞬間、迫力ある画面構成はこれまでにも多くのキタキツネの写真を見ましたが、この作品は素晴らしい一言に尽きます。
優秀賞(3点)

環境省自然環境局長賞
「カエルの独り言」(カエル)
撮影場所:京都府
撮影者:城田 祥男
<講評> カエルの横顔を狙った面白い作品です。画面の中のカエルの配置や背景のぼけ具合もバッチリですが、何よりカエルの小指を立てているのがこの作品のポイントです。素晴らしい一瞬を見逃さなかった作者の技量がうかがえます。

子ども部門賞・田中光常記念賞
「すずめの親子」(すずめ)
撮影場所:神奈川県
撮影者:岩瀬 一馬
<講評> 私たちの生活の中で一番身近な野生動物のスズメ。庭先でこんな光景が見られるとはうらやましい限りです。ヒナが親に餌をねだる瞬間をタイミングよく捕らえられています。身近な野生が人間と共存出来る環境を大事にしたいものです。 ※注 スズメの営巣活動に影響が及ぼないよう配慮し撮影されたものです

自然公園財団理事長賞
「実り豊か」(ベニヒワ)
撮影場所:北海道
撮影者:高谷 憲次郎
<講評> 5羽のベニヒワが一つの草に群がり、まるで絵画の様な作品に仕上がっています。頂点に羽を広げた鳥を置き、落ち着いた色彩とバランスの良い構図で素晴らしい作品になっています。
入選(4点)

「行儀よく並んで」(スズメ)
撮影場所:北海道
撮影者:Wacow023
<講評> 背景から察すると雪の季節。庭に設けた止まり木に雀たちが集まり餌でも待っているのだろうか。人間の生活と密接な雀たちの自然の姿が微笑ましい作品にされています。

「素敵な移動手段」(アオイガイ科の仲間とクラゲ)
撮影場所:沖縄県
撮影者:小谷 明日香
<講評> 水中での撮影は水の流れもあり、不安定でなかなか難しいものです。そんな環境の中でこんな珍しい光景を撮影できるとはなかなかベテランの方だと察します。黒い画面の中にオレンジとブルーの被写体がキリッと浮かび上がる素晴らしい作品です。

「静と動」(ノビタキ)
撮影場所:北海道
撮影者:部田 茜
<講評> ノビタキの何とも素晴らしい瞬間に気がつき、それを一枚の写真に写し止められています。ススキの穂が大半を占める画面の中に一羽の小鳥がキラリと光る素晴らしい作品です。

「おねだり」(ラッコ)
撮影場所:北海道
撮影者:蜂谷 雅人
<講評> お母さんのおなかで餌をねだるラッコの子供の可愛い姿をタイミングよく写し止められています。低い位置なのでボートからの撮影と思われますが、揺れる中でいいチャンスを作品にされています。
子ども部門賞(3点)

「メジロの三つ食い」(メジロ)
撮影場所:北海道
撮影者:本多 與志

「金の星空」(ヒガシヒダサンショウウオ)
撮影場所:神奈川県
撮影者:岡田 晟愛

「My fish」(ミサゴ)
撮影場所:大阪府
撮影者:稲富 六熊
佳作(9点)

「狩りの成果」(オオタカとドバト)
撮影場所:神奈川県
撮影者:大塚 達男

「ハートで表現」(アオモンイトトンボ)
撮影場所:三重県
撮影者:us-hiro

「お食事中」(ニホンザル)
撮影場所:長野県
撮影者:増田 晋一

「窮蛇国鳥を嚙む」(キジ)
撮影場所:岡山県
撮影者:新木 勝

「おいでやす」(アマガエル)
撮影場所:長野県
撮影者:櫻井 勝美

「北への想い」(コハクチョウ)
撮影場所:滋賀県
撮影者:成瀬 憲司

「狙う瞬間」(クロマグロ)
撮影場所:長崎県
撮影者:ジェシー

「凝視」(トンボ)
撮影場所:高知県
撮影者:shibaken1005

「炎舞」(白鷺)
撮影場所:北海道
撮影者:坂口 哲裕
「野生動物写真コンテスト~自然界に生きる野生動物たち~」は、次の皆様のご協力をいただいて開催しております。
(敬称略・50音順)
【後援】